FXは断然、得意とする通貨ペアがある方が有利です。特に EURUSD は市場規模が大きいため、テクニカル分析通りに動き易い通貨ペアとして知られています。反面、ボラティリティ幅は低いという特徴もあります。私の場合は12通貨ペアの相関関係を大きな根拠としているため、毎日のようにUSDJPY, EURUSDのテクニカル分析を行います。しかしこの2つの通貨ペアでトレードをすることはありません。どの通貨ペアをトレード対象とするかという問いに正解はありませんが、『何故その通貨ペアでトレードをするのか?』とう理由は各々トレーダー自身で明確にすべきです。
実際にいくつかの通貨ペアをトレードしたことのある人ならご経験があるかと思いますが、『何故だか自分はこの通貨ペアと相性が良い。』と感じたことがあるはずです。
この感覚が実はとても大事でして、FXで勝てるようになったトレーダーは皆、主戦場とする得意な通貨ペアを見つけています。
1.通貨ペア選びをする時のポイント
A.時間帯特性を理解する
東京・オセアニア市場であれば市場参加者が少なく値動きは緩やかです。またアメリカ・ユーロ圏各国は概ね深夜帯なので市場を揺るがすような経済発表も起こらない時間帯です。
もちろん例外はありますが、一言で静かな相場やレンジに近い動きをしがちです。または前日からのトレンドが発生しているのであれば緩やかなトレンド継続や、そのトレンド自体の調整波であることが多いです。またロンドン市場であれば16:00 のオープン直後、それまでの流れを覆すような逆張り的な動きをすることが多いです。このロンドン市場オープン後16:00-21:00辺りまで市場参加者が増え続け、盛況な市場となっていきます。そして 22:00から02:00くらいまでの間にその日最大の急騰急落というチャンスが訪れ易いです。これらを踏まえ、緩やかな中で大きめのロットでスキャルピングを行なうもよし、入念な分析のもと、ロンドン市場以降の急騰急落ポイントを狙うもよしです。私のような数時間から半日ほどポジションを持つようなデイトレーダーであれば、東京市場はとてもやりにくいと感じます。損切り指値にも利確指値にも触れずにただ時間だけが経過し、ロンドン市場が始まった15分後に損切りや利確になることが多々あるので、私は15時くらいから相場の様子を伺いつつ入れそうなら入りますが、主戦場はロンドン市場とアメリカ市場です。何が正解ではなくご自身のスタイルにあった時間帯を選びましょう。
B.ボラティリティ幅を踏まえる
通貨ペアによってそのスプレッド手数料が異なります。基本的にはスプレッド幅が高い通貨ペアほどボラティリティ幅も大きい傾向にあります。なかでもGBPAUDは最もボラティリティが大きい通貨ペアです。取引所にもよりますがこの通貨ペアは3pipsほどのスプレッド幅があります。しかしその分値動きも大きいので私は然程、気にしません。
仮にあなたが平日20:00-24:00くらいまでの3,4時間をトレード対象とするのであれば、その限られた時間内に何pips取得を暫定目標としますか?もしその時間内に10pipsほどで良ければ、どの通貨ペアだとしてもほぼ動きます。もし目標取得30pipsであれば、15pips×2トレードかも知れませんし、通貨ペアによっては1トレードで取得するのかも知れません。どのみち限られたトレード時間内に、おおよその取得目標に到達するためにはボラティリティを踏まえておく必要があるでしょう。少ないボラティリティの通貨ペアで3時間以内に20pipsを取得したいのであれば大きく動く局面だけ狙えばいいですし、大きなボラティリティの通貨ペアであれば20pipsの変動はレンジ相場でも狙えます。このように現実的な取得幅を理解するためにも通貨ペアを選ぶ方が有利に戦えます。
C. テクニカル分析における値動きの特徴を知る
例えば、私の礎であるライン分析を軸にお話を進めますが、通貨ペア特性によってヒゲの出方が異なります。なので最も取引高の大きいEURUSDであれば5pipsほどのヒゲは誤差と見なし、ラインをはみ出ても許容します。一方、私が得意とするAUD通貨ペアであれば10pips を許容としてトレードします。このように通貨ペアそれぞれに癖があります。それに伴って指値を入れた利確位置も損切り位置も、通貨ペアに合わせてチューニングする必要があります。巷では漠然と損切り幅だけを定義している方もいらっしゃいますが、通貨ペア特性という条件定義を無視して『10pipsで損切り』とルール決めをしてしまうと、
方向性と読みは合っているのにヒゲで狩られ続けるという事態も起こりえます。もちろんスキャルピングを行うのであれば10pipsの逆行で無条件に損切りというのは正しいとも言えますが、私がお伝えしたいのはあくまで損切りすべきpipsは通貨ペアにより異なる。ということです。
2.初心者はまずEURUSDから始めよう
先述した通り、EURUSDは最も取引量の多い通貨ペアですのでテクニカル分析におけるあらゆる理論に則り易いです。(それだけ大多数の人がテクニカル分析に則り、トレードをしているということです) 市場参加者の総意による多数決の結果、相場が一方向に大きく動く以上、大多数の人が足並みを揃えるだけの明確なサインがチャートに現れているということです。よってテクニカル分析型のトレーダーを志すのであればまずEURUSDをオススメします。EURUSDを分析できるようになると、次はEURUSDの動きを見ながら、EUR◯◯◯, USD◯◯◯, ◯◯◯USD, のような関連通貨ペアの相関関係が見えるようになってきますのでEURUSDは読めるようになっておくべきです。逆にAUD 系通貨ペアは市場参加者が少ない傾向にあるため、動きが乱れやすく慣れが必要です。
3.EURUSDが読めれば相関関係が読めるようになる
何故私がテクニカル分析が効きにくい傾向のあるAUD 系通貨ペアを得意とするかというと、それは相関関係を考慮した上で『今はドルに対してユーロが弱く、ユーロに対してポンドが強い』のであれば、ユーロ系は下落せざるを得ない。というような仮説を立ててAUD関連通貨ペアをトレードするからです。オーストラリアは資源国として常に各国との通貨取引が行われています。なのでオーストラリアドルに関しては、主にその通貨自体の価値が安全資産として上下している訳ではなく、ユーロが上がった、ドルが下がった等の他国通貨に引っ張られるようにオーストラリアドルが変動しているように見えるからです。感覚的なお話になってしまい恐縮ですが、私の市場認識においては、『AUD は上がらざるを得なくて上がった』or 『下がらざるを得なくて下がった』というように見えるのです。このようにEURUSDの分析力を高めさえすれば、いま世界のお金がどこからどこへ流れようとしているのか?を見ることができるのです。是非ともEURUSDを読めるようになってください。ボラティリティの高い通貨ペアで戦えるようになると資金効率:トレード時間 が向上します。トレード収益は上がり、トレード時間は減る。という実に合理的なトレードスタイルを描けるようになってきます。
4.まとめ
いかがでしょうか。後半は相関関係の話にシフトしてしまいましたが、通貨ペアを選ぶことの大切さはご理解頂けたかと思います。初心者の方であれば、まずはEURUSDを推します。USDJPY を推す派もいらっしゃいますが、外国の代名詞はアメリカだからUSD、日本人だからJPY , という何となくの馴染み感や親和性だけで選んでしまうのは勿体ないなと思います。世界の通貨市場においてはJPYは別段意識されていることはなく、安全資産としての地位も低下しています。強いて言えば、日本円は一時避難所くらいの認識かと感じます。それよりも東西に世界を大きく二つに分けた場合のEURとUSD, このお金の動きが見える方が相関関係を理解する上でもメチャクチャ有利です。よって私は初心者にこそ、
EURUSDをオススメします。