今回はライン分析の観点から相場の本質に触れていきます。
(※こちらの記事は続編となっておりますライン分析のススメ①)
ライン分析には曖昧さや許容があっていい
初心者の方はライン分析を実践する上で、ヒゲに引くべきかローソク実体に引くべきか?という疑問を抱くことがあります。先に答えを言いますと正直曖昧で良いです。
極端に高値安値の位置を間違えていなければ正解なのです。ある程度の経験と感覚的な部分を養う必要はありますが、練習すれば修得できます。
というのも、そもそもヒゲの長短は各々トレーダー達が使っているFX口座=取引所内の出来高によって違いがあるからです。ヒゲの長短に厳密さはなく、世界中のトレーダーが厳密に完全一致の数値(=通貨価格)を見ている訳ではないのです。しかし総取引高は基本的にインターバンクに集約反映されるので、全く違うチャート形状のような極端なズレが生じる訳ではありません。よってどうしても曖昧さを払拭することはできなのです。なので [ラインをヒゲor実体に引くべきか?] という問題に関しては、その曖昧さを許容することでしか対応できないのです。
トレードは「およそ」で捉えるしかない
例) あなたが使用しているFX 取引所では、ある瞬間に+8pips の上ヒゲが観測できたとしても、友人Bさんが使っているFX取引所では同じ時刻同じ通貨ペアであるにも関わらず、Bさん側のチャートでは+12pipsの上ヒゲだったりします。こればかりは個人が抗えるものではないので許容します。私がアンチ国内口座である理由はここにあったりもします。
(暴露記事:DD方式, NDD方式についてはこちらをご覧ください)
また通貨価格自体、世界中のトレーダーの売買価格が完全に合致することはありません。あなたも敢えてキリ番(例:$1=110円ジャスト)を少し超えたところに指値を入れたことなどがあるかと思います。変動し続ける通貨価格はそういった世界中の異なる意思決定の総意でしかないので、誤差はあるものだと許容します。とはいえ世界中の多くのトレーダーが意識している価格帯(=ターゲットプライスや節目)は存在します。そのエリアをおおよそ把握するためにライン分析をするのです。私はあらゆる手法を実践しましたが、ライン分析、4時間足に大きなチャネルラインを引けるスキルこそが普遍的にも最強であると胸を張って公言できます。
4時間足ライン分析をマスターすると相場の仕組みが見えてくる
[勝てる手法を見つけるのではなく、まず相場の仕組みを理解する]
この概念を丸暗記してください。10回音読してください。いつか必ず腑に落ちます。
「どうしたら勝てるんだ?いいからさっさと勝てる手法だけ教えてくれ!」その発想が負ける理由です。偉そうなことを言ってしまい恐縮ですが、そもそも過去の私がそうでした。ググれば上位に出てくるような勝てる手法たちは、実際に勝てる手法です。勝てない手法の方が少ないくらいです。(なかには荒唐無稽な勝てない手法もありますが)
では何故こんなにも簡単に勝てる手法を知ることができるのに、9割の人間が負けてしまうのか?その答えが、 [勝てる手法を見つけるのではなく、まず相場の仕組みを理解する]
が出来ていないからです。本当に勝ちたいならさっさと覚悟を決めましょう。つまり、
[相場の仕組みを理解すれば、あらゆる手法が機能し始める] のです。
そのために私が今からお話する4時間足に大きなチャネルラインを見つけることです。
修得に数日掛けたとしても、このライン分析を理解するだけで一気にトレードスキルが上昇します。そこまではお約束できます。あとはこの正確なチャネルライン内で既にあなたが実践している手法を適応させれば良いのです。おそらくここまで読んでくれたあなたは、初心者ではなく、ご経験を積んだ中級者でしょう。今日までにあなたが培った手法はそのまま活かしてくださいね。そこにこの[ライン分析をあなたのトレード手法にチョイ足しする] だけで勝率が高まります。
兼業トレーダーは4時間足で大局を捉えるべき
デイトレード規模であれば必ず4時間足を見る習慣をつけてください。必ず!です。
(注:4時間足だけでトレードする訳ではありません)特に兼業トレーダーである会社員の方は必須です。4時間足で大局を踏まえておくだけで大幅に勝率が上がります。もしあなたが兼業トレーダーであれば随時チャートを見ていられる状況ではないかと思いますので、その状況を踏まえてお話しますね。至極当たり前なことなのですが、1本の4時間足を形成するまでには4時間を要します。つまりデイトレ規模であれば、次の4時間足×1本、2本、3 本の動きを予測することのみでデイトレ規模の1トレードが完結します。これは時間感覚を養うためにとても重要です。
あなたのトレードスタイルに於いての理想的なホールド時間は何時間でしょうか?
もし帰宅後にトレードをする方であれば、おそらくトレードに費やせる時間は8時間以内でしょう。だとすると次に形成される4時間足 1本分のみを予測することに傾注すれば良いのです。もし数時間、含み損を抱えたとしても大局を見失っていなければ平然としていられます。そのための4時間足にチャネルラインを引けるようにするのです。
私のトレードの礎はライン分析です。一度4時間足に正しいチャネルラインを引きさえすれば、そのチャネルラインは何週間も機能します。(※もちろんいつかはそのチャネルラインも転換しますが、基本的に4時間足に引いたチャネルラインの寿命は長いです)
ぜひとも4時間足で大局を捉えてご自身のライフスタイルにご無理のないトレードを敢行してください。
まずは図形認識ゲームのつもりで引く
では実際どうすればいいのか?まずはチャートの大局を踏まえるため、抽象度を高めて俯瞰します。この段階で細かいことは気にしません。
- 4時間足チャートを表示
- 通貨ペアは何でも良い(ライン分析は全通貨ペアに通用します)
- ローソク足のみにする(移動平均線など全非表示)
- 直近1年ほどを1画面内に表示
- チャネルライン描画ツールを使う(MT4,5, TradingView の標準機能)
まずは細かいことを考える必要がありません。これは図形認識ゲームです。
一旦、実体orヒゲ、どちらに引くべきかは気にしません。
コツは身構えず楽に取り組むことです。
分析方法・実践
これは直近1年相当のAUDUSD /4時間足です。
パッと見ただけで全体としては下降しているのが分かりますね。
とりあえず右下がりのチャネルが引けそうです。
引いてみます。慣れれば1分以内に引けます。
こんな感じです。大前提ラインを引くスケール感としては約1年相当を目安にします。
「いやいや、一年もホールドしないし。」とか思わないでくださいね。
これを大チャネルと定義します。
チャネルを下にはみ出ている箇所がありますが、現段階では気にしません。
相場は全ての先端を結べる完璧なチャネルばかりではありません。それよりも視覚的に捉えて、[いかに多くの目立った高値安値を直線で結べるか?]を意識しましょう。繰り返しますがこの段階では厳密さは不要です。実際私がこれを引いた時、実体だろうがヒゲだろうがそんなこと全く気にしてません。そもそも1 年相当のチャートを1画面に表示したらヒゲ先も実体も気にしなくて済むはずです。これだけで迷いを断つことができますね。
目立った高値安値とは緑丸の箇所↓
チャネルは結べる接点が多いほど有効です。
チャートの時間軸に沿うよう左から右に向かって特徴点(=目立った高値安値)に引いていきます。そしてこの大チャネルの下にはみ出たV字部分にはこんなラインが引けます。
↓
ここで上昇型の大チャネルも観測できます。つまり現在、
[約1年におよぶ下降型の大チャネルと上昇型の大チャネルが混在している] 状況です。
ここでクイズです。
Q.この後、ローソク足は上昇or下降どちらに向かいそうですか?
このチャートの過去に働いている規則性を踏まえ、どこにターゲットプライス(=価格はどこを目指しているか?)になり得るかを考えてみてください。また約1〜2日後、ローソク足はどこに到達していそうですか?この2つの大チャネルに働く規則性や共通項を判断材料にして観察してみましょう。
答えは下にありますが、一旦スクロールせずにご自身で考えてみてくださいね。
そして私の見解はこちらです
↓
いかがでしょうか。あなたの見解と合致しましたか?正しいラインを引くだけでもここまでの分析が可能です。そして直近の4時間 や1日単位のボラティリティを観察し、このオレンジのターゲットプライスに到達するまでの所要時間を想定します。もし直ぐに到達しそうだと判断したらエントリーすれば良いですし、何度かの上下変動の揉み合い後に到達すると思えるのであれば、一旦の反発上昇を想定し今よりも高い価格で有利に売り叩ける戻り目を狙いましょう。
私の見解例
これで約1日2日先までの戦略が立ちました。ちなみに上の画像においてはオレンジ点線のターゲットプライスまで約70 pipsあります。デイトレ規模で狙うのであれば充分な取得幅ですね。直近のボラティリティを踏襲するのであれば、到達までに最短でも半日は要しそうです。しかもこのチャートの時刻は金曜深夜2時過ぎなので、市場参加者は少ないです。直近の流れと時刻を踏まえると急落は発生しなさそうです。だとすると週明けに到達しそうですね。また週末なのでノーポジになりたい人達もいます。その影響で利確に伴った一旦の上昇反発をする可能性があります。よって週明け月曜の市場は方向感のないレンジのまま終わるかもしれません。巻き込まれるとダルいやつですね。あくまで経験則ですが、1,2時間程度ではこのターゲットプライスに到達しないでしょう。この大局をダウ理論に則り解釈するならば、現在は新しく形成された大きな上昇チャネルの底値圏とも解釈できるので、新しい上昇チャネルを想定している市場参加者もいます。そういう思惑のトレーダーは絶好の買うタイミングを狙っているだろうし慎重さが必要です。また懸念点として下降チャネルからはみ出た部分はV字なので、一気に売られた後、一気に買いが入った状態です。はみ出たV字部分はトレンド反転を示唆する底値だった可能性もあります。
どうでしょう?我ながら長ったらしい見解ですね笑。しかしこれは将棋やチェスに例えるならば3手4手くらい先を見越した見解です。将棋を始めたばかりの小学生も3手先くらいは読みます。プロの棋士なら何十手先まで読みますが、[デイトレードに於いては3手先くらい読めれば充分です。感覚を掴んでしまえば決して難しくはありません]
今は4時間足のみでの分析なので、このくらい曖昧な見解で良いです。
チャネルが引けたら、
・(視覚的に見て)ターゲットプライスはどこか?
・おおよそ何が起きそうか?
・現在はどういう状況か?
・ロング勢は何を根拠にしているか?
・ショート勢は何を根拠にしているか?
という感じで把ざっくり状況把握しておきましょう。
移動平均線で節目(=押し目戻り目)候補を探ろう
ここでやっと移動平均線の出番です。ここから先は時間足を下げて別の見地から分析を重ねていきます。そして最終的には15分足や5分足などの下位足レベルでチャートパターン、レジサポラインを確認、主要な移動平均線の位置を見ていきます。
では先に超重要なヒントを触れます。
これはMTFの本質でもあるのですが、
■上位足から下位足へと分析を進める作業とは、
相場を大局から小局に向かって見ることによって、[一定時間内に変動する値動きのエリアを特定していくため] です。
重要な概念なので必ず10回くらい唱えておいてくださいね。
これはテクニカルトレードの本質を貫く概念のひとつです。
もしあなたのトレードに混乱が生じた時、これを実践してみてください。
[一定時間内に変動する値動きのエリアを特定していく作業をする]
結局、移動平均線/エリオット波動/フィボナッチ数/グランビルの法則/等も値動きのエリアを特定するために使っているのです。
これを[値幅観測]と言います。
分析を進めるなかで『よし、ここからここまでは動きそうだ!』という感覚を得たら、その値幅分だけをちょこんと切り取る作業がトレーディングです。
どれだけ鍛錬を積んだプロトレーダーでも常に上か下かが分かる訳ではなく、自分が取ろうとしているエリアをしっかりと見定めているのです。
では次はこのチャートに主要な移動平均線を表示してみます。
↓
こんな感じです。現在価格付近には目立った主要移動平均線が見当たらないので、
反発ポイントとして意識される節目はなさそうです。であればデイトレ単位ではショート目線という可能性が高まり、これでまたひとつ根拠が増えました。
(私の移動平均線に関する詳細はこちら)
現在のチャネルラインの中においては、下落ムードの後半戦であることを踏まえて軽はずみなショートもロングもエントリーできません。あくまでまだショート目線でみるしかないということです。この状況に於いては[一旦の戻り目形成を待ち構える]が無難です。
絶好の売り叩きポイントを探している段階なので、チャートに張り付いていられない方なら、必ず損切り指値を入れることを条件に、戻り目候補の主要移動平均線付近に指値でショートを仕込んでも良いでしょう。一旦反発上昇したところでショートポジションを持ったとしても、ある程度レンジに巻き込まれることも想定しなければなりません。レンジに巻き込まれたら丸1日(24時間前後)はポジションをホールドし続けることになるかもしれない。という前提でいます。そして画像に書き込んだターゲットプライスまで約70pips もあるのでまだショートで取れそうです。なのでまだ基本ショート目線で構いません。どのみち今は[絶好のショートエントリータイミング] ではないです。
注意すべき点なので繰り返しますが、しばらく真っ直ぐ落ちてきたという既成事実がある以上、どちらにも飛び乗らず反発上昇を想定しておきましょう。ということです。
果敢なトレーダーであれば、そろそろ逆張りオーダーを入れてくるゾーンでもあります。
その反発上昇の根拠としては、価格がチャネルラインの中央値(=画像の点線ライン)直上にあることです。
仮に1時間足の20MAまでの反発上昇(=戻り目形成)が起きるとしても、そこまで40pipsあります。デイトレード規模での含み損(-40pips)は許容範囲ではありません。なぜ戻りを警戒するかというと経験則による見解(=個人のざっくり統計)なのですが、既に大きく下落しているということは当然ながら利益確定をし始めるショートエントリー勢もいます。
ここまで読んでくれた方の中には『結局ショートなのかロングなのか分からないのかよ。』などと思う方もいらっしゃるかもしれません。あくまで現時点では4時間足のみでできる分析を施した段階です。ここから下位足での分析を進め、更に高精度のエントリー根拠と位置が見えてきます。あくまでここまで4時間足のみでできる分析です。
そして週明けの月曜のチャートがこちらです。
緑丸部分に注目してください。チャネル中央値(=画像の点線ライン)で反発上昇しました。
今まで相場に働いていた規則性に則るのであれば、チャネルの下限まで到達しそうなのに
少しばかり早めに上昇反発しましたね。これも今後に関わる新しい重要な判断材料になります。これはフェイラー現象といいます。何らかの要因(例:逆相関にある通貨ペアの下降など)により、チャネルタッチ手前で上昇しています。これは強い買いを示唆しており、
市場参加者の多く( =特に長くポジションを持つスイングトレーダー達)が、ホールドし続けていて、中長期的には依然としてロング優勢であるという意思が表象化したものです。
↑上昇チャネルラインに達しない隙間=フェイラーと、チャネル中央値(点線)を新たな根拠にする。
以上、ここまでが4時間足のみでできる分析結果になります。次回はこの4時間足に引いた大チャネルを下位足で表示し、チャートパターンなどを検証していく分析を行い、エントリーポイントを特定していきますね。細かなテクニックと思考法をお話していきます。